感度・特異度の臨床的解釈
感度・特異度は検査の精度を表すのに用いられる指標です.
疾病あり | 疾病なし | 計 | |
陽性 | a | b | a + b |
陰性 | c | d | c + d |
計 | a + c | b + d |
感度…疾病ありの人が,陽性と判定される確率 $$\frac{a}{a + c}$$
特異度…疾病なしの人が,陰性と判定される確率 $$\frac{d}{b + d}$$
ただ,病院で働いてみるとわかるのですが,臨床現場では,感度や特異度は直感的に分かりにくい指標です.
検査は,そもそも疾病の有無を知りたいために行っています.疾病があるかないか不明なので,疾病があるもとでの確率を考えること自体が無意味なのです.
臨床的な解釈を行うためには一歩踏み込む必要があります.
感度が大きい検査(感度がほぼ100%のとき)$$ 疾病あり \Rightarrow 陽性 $$ がほぼ成立します.
この論理式の対偶をとってあげると,$$ 陰性 \Rightarrow 疾病なし $$ もほぼ成立します.
つまり,感度が大きい検査は除外診断に有用と言えます.
特異度が大きい場合も同様にして,$$ 疾病なし \Rightarrow 陰性 $$ がほぼ成立するので,対偶を考えることで$$ 陽性 \Rightarrow 疾病あり $$
がほぼ言えるので,特異度が大きいと確定診断に有用と言えます.
丸暗記に頼って忘れかけることが多い感度と特異度も,対偶を考えてあげることで,スムーズに臨床的解釈ができるようになりました.